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sense of wonder
不思議さを感じることのできる、こころの不思議。
その謎を探るような日々の足あとを綴ります。
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観察と発見」ワークショップ — ルーマニア、シビウ市、Șura Culturală Gușterița

Workshop “Observation and Discovery” — presso Romania, Shibiu, Șura Culturală Gușterița



少し時間が経ってしまいましたが、夏の初めにルーマニアで行ったワークショップについて、ここに記録としてまとめておきたいと思います。

(しばらく忙しくしていて、なかなか記事にまとめることができずにいました。)

È passato un po’ di tempo, ma vorrei lasciare qui una traccia del workshop che ho realizzato in Romania all’inizio dell’estate.

(Negli ultimi mesi sono stata molto impegnata e non ero ancora riuscita a scriverne.)

*Il testo in italiano segue dopo questo testo in giapponese↓


場所は、ルーマニア・シビウ市のグシュテリツァ地区にある文化センター「Șura Culturală Gușterița」です。このセンターは、地元の教会を母体とし、NGOや地域のボランティアが協力して運営する教育・文化・社会活動の拠点です。もとは古い納屋だった建物を改修し、子どもたちや地域の人々が集い、学び、表現するための豊かな空間として再生されました。


とてもありがたいことに、私が数年間オンラインでアートを教えているルーマニアの女の子のご両親 Christian Scholtes / Alina Scholtes がこの素敵な文化センターを紹介してくださり、参加者の募集やさまざまな面でご協力くださりました。私自身、彼らの住むシビウ市にはこれで2回目の滞在で、自然豊かなとても美しい町です。


今回のワークショップ「観察と発見」は、12歳前後から大人までを対象にしていて、参加者は15名ほど。素材として日本の墨汁と和紙(懐紙)を用い、そこに貝殻や石、葉、木の実など、身近な自然物を組み合わせました。


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参加者はまず、貝殻や葉を鉛筆で懐紙にスケッチします。目的は、上手に描くことではなく、「よく観察すること」です。スケッチは単なる技術の練習ではなく、対象と向き合い、見つめる時間そのものが重要です。絵を描くうえで、観察することは技術を取得する以上に大切だと私は考えます。宮崎駿氏がかつて脳科学者の養老孟司氏との対談の中で語ったように、「皆、土を描く時は自分の生まれた土地の土を描く。」― つまり、知らない(経験していない)土を描くことはできないのです。自らの目で見て、触れ、感じるということは、世界と自己をつなぐとても重要な創造的行為なのです。


スケッチの途中で、子どもたちはそれぞれのモチーフの中から、不思議な形や惹かれる部分を発見していきました。たとえば、枯葉に偶然開いた小さな穴の形、貝殻の螺旋の線 ― その一つひとつの中に新たな“発見”が潜んでいます。その抽出した部分を、今度は墨と水を用いて和紙に抽象的に表現しました。筆や楊枝を使い、水を垂らし、にじみや滲みの偶然の表情を楽しみながら描く過程では、素材そのものとの対話が生まれます。


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はじめは少し戸惑っていた子どもたちも、やがて身近な自然物をじっくり観察することに夢中になっていきました。初めに配った紙では足りなくなるほど、想像以上に多くのドローイングが生まれました。


最終的に、各自作成したドローイングをテープでつなぎ合わせて一枚の長い作品 ― アーティストブックを制作しました。折りたたむと本のようになります。完成した作品は全員分を窓辺に吊るし、和紙を通した光の変化を楽しみました。

和紙は、日本では文字や絵を描くだけでなく、障子や屏風など建築の内装にも用いられる素材です。窓に飾ることで、その独特の透ける質感や光の柔らかさを、参加者たちにも体験してもらうことができました。


このワークショップの目的は、「観察」と「発見」がいかに創造の根源にあるかを体験することにあります。

日常に溢れる小さな事柄から、自分自身の感性で新しい形を見出すこと。

見慣れたものの中に問いを見つけること。

そして、墨と和紙という日本の素材に触れながら、偶然の中に生まれる美しさを味わうこと。


それは単に描くことを学ぶ時間ではなく、

世界をもう一度、よく「見る」ことを学ぶ時間でもありました。


素晴らしい時間をありがとう!




Il luogo era Șura Culturală Gușterița, un centro culturale situato nel quartiere Gușterița della città di Sibiu, in Romania.Questo centro nasce dall’iniziativa della chiesa locale ed è gestito grazie alla collaborazione tra un’associazione ONG e volontari della comunità.L’edificio, un tempo un vecchio fienile, è stato restaurato e trasformato in uno spazio vivo e accogliente, dove bambini e adulti possono incontrarsi, imparare ed esprimersi liberamente.


Con mia grande gratitudine, Christian Scholtes e Alina Scholtes, i genitori di una ragazza rumena a cui insegno arte online da alcuni anni, mi hanno presentato questo splendido centro culturale e mi hanno aiutata in molti aspetti dell’organizzazione, dalla comunicazione al reclutamento dei partecipanti. È stata per me la seconda volta a Sibiu, la città in cui vivono: un luogo circondato dalla natura, ricco di bellezza e tranquillità.


Il workshop, intitolato “Osservare e Scoprire”, era rivolto a partecipanti dai 12 anni in su, fino agli adulti, e ha coinvolto circa quindici persone.Abbiamo utilizzato inchiostro giapponese (sumi) e carta giapponese (kaishi), combinandoli con elementi naturali come conchiglie, pietre, foglie e semi raccolti nei dintorni.

I partecipanti hanno iniziato schizzando a matita su carta giapponese gli oggetti scelti — una conchiglia, una foglia, un piccolo ramo.


L’obiettivo non era disegnare bene, ma imparare ad osservare.Il disegno, in questo senso, non è un semplice esercizio tecnico: è un tempo di ascolto e di attenzione verso ciò che ci circonda.Credo che, nel disegnare, l’osservazione sia più importante della tecnica.

Come ha detto una volta il regista Hayao Miyazaki in una conversazione con lo scienziato Takeshi Yoro,

Quando si disegna la terra (cioè il suolo), si disegna la terra in cui si è nati.”In altre parole, non si può disegnare una terra che non si conosce.Vedere, toccare e sentire con i propri sensi è un atto creativo fondamentale, che collega il mondo a noi stessi.


Durante lo schizzo, i ragazzi hanno iniziato a scoprire forme e dettagli sorprendenti nei loro soggetti:un piccolo foro in una foglia secca, la spirale di una conchiglia, una linea irregolare sulla superficie di un sasso. Da queste scoperte è nata la seconda parte del lavoro: usare inchiostro e acqua per esprimere in modo astratto ciò che avevano percepito.Con pennelli o bastoncini, lasciando che l’acqua e l’inchiostro creassero effetti di macchia e dissolvenza, hanno esplorato il dialogo diretto con il materiale.


All’inizio alcuni bambini erano un po’ incerti, ma presto si sono immersi con entusiasmo nell’osservazione della natura.La quantità di disegni prodotti ha superato ogni aspettativa — i fogli distribuiti non bastavano più!


Alla fine, ogni partecipante ha unito i propri disegni con del nastro adesivo, creando un’unica lunga opera: un libro d’artista che si può piegare come un volume.Le opere finite sono state appese alla finestra, e insieme abbiamo osservato come la luce cambiava attraversando la carta giapponese.

In Giappone, la washi non è solo un supporto per scrivere o dipingere, ma anche un materiale architettonico, usato negli shōji o nei paraventi.Appendendo i lavori alla finestra, i partecipanti hanno potuto sperimentare direttamente la trasparenza e la morbidezza della luce filtrata attraverso la carta, scoprendo un aspetto della cultura giapponese a loro poco familiare.


Lo scopo di questo workshop era far vivere l’esperienza che “osservare” e “scoprire” sono all’origine di ogni atto creativo.Trovare nuove forme attraverso la propria sensibilità, a partire da piccoli elementi del quotidiano.Porre domande a ciò che si conosce troppo bene.E, infine, gustare la bellezza che nasce dal caso, toccando con mano materiali come l’inchiostro e la carta giapponese.

Non è stato solo un tempo per imparare a disegnare,ma un’occasione per imparare a guardare di nuovo il mondo.


Grazie per il bellissimo tempo insieme!


※彼女たちの写真は公開の許可を得ています。

Con il permesso di queste ragazze, queste foto possono essere pubblicate.



美しきシビウの風景 / Le belle vedute di Sibiu

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イースターです。

挨拶は、「Buona Pasqua!」と言う人々が多くなります。

ヒトの頭脳はとても複雑で、思考は宇宙の様に果てなしないけれど、

感覚(sense)はとてつもなく素直でシンプルだと感じる瞬間が、日々の生活の中に見え隠れして、面白いなぁと想います。

相変わらず、出来る限り知識・偏見etcを一度棚にしまって、そこ(シンプルなほう)を、見つめる、耳をすます、という生活をしているので、

私自身の中で、変わってゆくものと、変わらずに永遠であるかもしれない(繰り返される?)もの、が何であるのかが、浮彫のように自然に現れてくるようです、形作られていくのか、潜在的にあったものが見えてくるだけなのか、は分からないのだけれど、無理矢理に創ってゆく(変えてゆく)ことは、どうも苦手なよう、というよりも出来ないのではないかしら。


イースターヴァカンスで、友人達の旅に一緒に行く事が出来ました!・・・さっそくミラノ(都会)脱出に成功してしまいました エヘ 笑。

ミラノから3時間ほど車を走らせたところ・・・ピエモンテ州というところ、山の中、森です!森!森!森~!!!^^

とんでもない高さの橋からバンジージャンプが行われていたなんていう旅記を書きたいところなのですが、また後日にします、何故なら、「森」というキーワードから、昔書いていた記事、完成されるのを待っている途中の記事があったことを想い出したからです。



書いたことをすっかり忘れていたのですがなんと去年の夏の旅のお話です。

そうそう、「パリジェンヌ?」という記事のあとに載せようとしていたんだったわ。今更完成しました。笑。

長くなりそうですので、お時間のある時に是非・・・

ドナウ河の果ての、素敵な出会い。



moと私は言葉もろくに通じないルーマニアの東へ向かっていました。ドナウ河の終点地、黒海へ流れ着くところ、その名も「スリナ」。

輝氏が訪れた当時、ロシア支配下のまちで、店やヒトがあまりいなくて寂しい寒い海に、哀しい物語の主人公が辿りつくのだけれど・・・

あまりに日の出の景色が美しいことが、とても残酷なものとして、登場人物の心に映るシーンの舞台なので、私達もそんなイメージを少し期待しつつ、船でしか辿りつくことのできないスリナへいざ・・・ナンパ青年達を「私達はパリジェンヌなの」とあり得ない嘘でかわした場所「トゥルチャ」を出発しました。


大きめの船で4時間、スリナが終点で、途中にぽつんぽつんと、河にまちがあって、そのたびに人々が乗り降りしていました。住んでいる人達はもっと小さな船がトゥルチャまでの足、という日常。大きめの船は、観光客とか積荷が大きい人たち、だと思います。

ドナウデルタ(Delta=三角州)。もう黒海を想わせる、河の果てです。

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船で私達が絵を描いたりアイスを食べたり眠ったりしていると、隣に座っていたおばさまが話しかけてきました、ルーマニア語で。

私達が理解できない事を悟ると、さらに奥にいた娘さんが英語で通訳してきました。「今夜スリナで泊まるところはあるの?」ということ。

私達「いいえ」。 おばさま、「じゃぁうちの別荘にいらっしゃいよ、部屋が余っているのよ。」

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このおばさまこそ・・・今までの旅を全て忘れさせてしまう程の強烈なキャラクターだったのです。

私達は、おばさまの優しい表情と、可愛らしい娘さんの雰囲気で、「ここで大丈夫でしょう」という結論に至って、宿を決めました。

彼女たちはトゥルチャから、スリナへヴァカンスの為に来ていたのです。

船を降りると、スリナは私達の想像以上に元気いっぱいで、「ホテル?」「タクシー?」と訪ねてくる客引きばかり。私達は決めて良かったと心底感じるほど、あまりガラがよいとは言えない雰囲気の客引きばかり。すたすたとおばさまの後に着いてゆきました。

よく見るとおばさま、両手にとんでもなく物凄い大荷物(旅行荷物以外に、水とかイモとかあった気がする、)大丈夫ですか、手伝いましょうかと言っても「大丈夫!!!」と、

とびきりの満面の笑みで歩き続けます(この時点で、すでにただならぬパワーを感じました)。どう見ても歩き方がいっぱいいっぱいだったような・・・。

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こちらは、お部屋。おばちゃま、元気に「素敵でしょう、素敵でしょう!」と久々に訪れた別荘の掃除などを始めました。

ちなみに、おばちゃまはルーマニア語以外は話さないので、基本的に娘さんが通訳をするか、私達の想像です。


ルーマニア語がつうじまいと、娘が通訳で疲れ果ててイライラしていようと、日本人の女子2人のお客様が来てとっても嬉しいの!(多分日本人自体がめずらしい)

そしてその日本人が疲れていようがいまいが、私はとってもハッピーだからとにかく喋りたいの!


という雰囲気のおばさま。これまでの旅で完全に疲れていた私達は、輝氏の小説のイメージ「静かで寂しい、物悲しいスリナ」を目指していたのですが、

ここが今までで一番ハイテンションに過ごすことになりそうな予感・・・を、うすうす感づいたので、私達もとにかくおばさまの好意に答えようと、

そして娘のnちゃんに通訳であまり疲れさせまいと、ジェスチャー(雰囲気?)を使って会話をしながら、夜はふけてゆきました・・・。



目的は、黒海で朝日が昇るところをみること。ドナウを延々旅して、孤独な主人公が辿りついたところ・・・

輝氏が見た風景を見ること、です。当然海へ出なければならない。



おばちゃまも、娘のnちゃんも、姑のsちゃん(実はいたのです)も、そんな私達の想いを受け取ってくれ・・・て?

次の日の朝は、とりあえずは海に出ましょう!ということで海水浴ね!の雰囲気で海まで歩くこと2時間弱(何キロあったのかしら、とっても遠かったのです)、

炎天下の下(真夏でした)、畑や馬の道や延々と乾燥した一本道をひたすら歩き続けます。



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途中、おばちゃまが「近道なの!素敵よ!」と無邪気に私を誘った道が、完全に畑の中で恐ろしくぬかるんだ泥の道であったこと、

想定外でとっても歩きづらくても笑顔は忘れずに歩き続けるおばちゃま・・・結局普通の道を歩いたmo達の方が完全に大分前を歩いていても

「畑って素敵だったわね!」と言うパワー。とっても可愛らしいのだけれど、私は既に熱射病の兆しが・・・。



強い日差しが照り続ける中を数時間歩いたために、私は気がつけば砂浜で眠っていました。今から思えば、熱射病だったのかもしれません。

ふと周りを見渡すと、おばちゃまたちが居なかったので、海に入ったのかしらと思ってまた眠りに落ちてしまいました。



数時間・・・moがおばちゃまと何処からか戻ってきました。何処に行っていたの?と聞くと、

おばちゃまと一緒に、「おばちゃまとってもオススメの貝」をずっと浜辺で探し歩いていたとのこと、

・・・え、一体何時間? そう、moはさらに数時間、炎天下の下をおばちゃまに連れられ歩き続けていたのです。

nちゃん、sちゃんも泳ぎ疲れて眠っていたというのに・・・。



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貝を探すおばちゃま。


どこまでもパワーの尽きないおばちゃま。帰りの道でも延々とルーマニア語でしゃべり続けるおばちゃま、私も英語とかフランス語とか、ジェスチャーに疲れ果て、ついには日本語で話しだす始末。

「つばめは日本語でつばめって言うの。」←このまま全部日本語で言っている私。全く意味が分からなくてもおばちゃまは満面の笑みでうなずいてくれます。

ルーマニア語vs日本語で数時間、成り立つ私達・・・(私は少し眠ったので回復していました)、

共通で通じる言葉は、「ペリカン」。ここにはペリカンがたまに飛んでいて、これもまた「おばちゃまのとってもオススメの鳥」。

「見てペリカン!ペリカンよ!ペリカン!」・・・ペリカン・・・これだけは、しっかりと通じた言葉でした・・・笑。


そして「おばちゃまのとってもオススメの実」、ミラベルを木から、無邪気な少女のようにもぎ取って私達に渡してくれました。

それが・・・全く熟していなくて、渋すぎて一口入れたら全身がしびれるほどに酸っぱかったので「無理!」と思ってふとおばちゃまを見ると・・・

パクリとそのまま口へ入れているではありませんか。満面の笑みで食べていました・・・確実に食べるには早すぎたはずです。

おばちゃま、どうなってるの・・・?



この日は、一度戻ってから皆で食事を取ったり、moとスリナを散歩したりして、気持ちよく時が流れてゆきました。

えぇ、おばちゃまのテンションは下がることなくね。



あぁ、ペリカンも、つばめも飛んでいる。ドナウが黒海に向かって流れていて、ヨーロッパの東の果てに夕方がやってくる、

私達はそういうところにいて、目の前を過ぎ去る牛とか、馬をスケッチしたりしている、そのことがとても嬉しかったのです。

moとずっとお喋りしながら、その日も更けてゆきました。次の日はスリナ最終日、目的の日の出を見にゆく日です。



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夕方のスリナ、道を歩く牛。



朝4時。スリナ最終日、前日と同じ道を、海までひた歩くことになる。おばちゃまは満面の笑みで一緒に歩くことを受け入れてくれました。

おばちゃま、mo、私の3人でまだ薄暗い道を歩き始めたら、野良犬が数匹、くっついてきました。

ルーマニアは、ブカレストもそうでしたが野良犬が本当に多いです、ドーベルマン級の大きさの・・・。


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おばちゃまと犬。


初めは、怖かったのです、野良犬たち。

しかしながらいつまでもくっついてくるので、いつの間にか旅の友となっていました。


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途中私達はスケッチをして・・・このように、moはとても集中しているので、おばちゃまと私と犬は少し先を歩き始めました。

ちなみに、この中の犬の1匹はmoと共に残ったのです。「この子は私に任せて、君たちは先を行って」と言っているような感覚。



あと少しで日が昇るので一刻も早く海へ出たいわ、と思う私に、おなじみの「おばちゃまオススメの道」があるらしい事が判明し、

それは「貝の道で、とっても素敵なの!」と言っているのでそちらの道を選ぶ事にしました。



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海までの道。




しかしながら・・・延々歩いても海には辿りつかないのです。途中、moの姿も見えてこないので不安になりながらも、ただの一本道なので大丈夫かな、と思いながら

ひたすら、歩き続けました。前日の海までの道のりの倍近い距離を歩いたでしょうか(もう何時間歩いたかは知らない・・・知りたくない 笑。)、

やっと、海にたどり着いたときは、すでに日が昇り始めていました。

もう、一体何がオススメで「貝の道」なのかさっぱり分からないまま、歩いていたと思います。野良犬たちと共に。


何の試練なのかさっぱり分からないけれどとにかくや・・・・っと辿りついたそこには、

人ひとりいない静かな黒海に、朝日が映りこむ美しい世界が広がっていました。


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しばらくぼんやりとその世界に身をゆだねていたところ、少し遅れてmoと犬が到着しました。

おばちゃまはというと、とどまることなく浜辺をくまなく歩き回り、遠くに行ってしまっていました、恐るべし。


moとやってきた犬は、私が一人で海を見つめる姿を発見すると、

「おまたせーっ」とでも言うかのように全速力で抱きついてきて顔をペロペロ・・・なんとひとなつこいのでしょう。



私達は(犬も)、それぞれの海の時を過ごしました。



そしておばちゃま・・・元気よく何処からか戻ってきました。満面の笑みで、何か持っています。

そう、「オススメの貝」です。ずっと貝を探し歩いていたのです。


おばちゃまは、「貝の道」ではなく、「貝が沢山落ちている浜辺への道」と言っていたことが、やっと分かりました。

前日の浜辺とは別の浜辺で、こちらには10㎝ほどの巻き貝がいくつか落ちているのです。おばちゃまは、この貝が大好きで、この場所に私達を連れてきたかったのですね。


おばちゃま素敵ね・・・と思ったのもつかの間、「皆で貝探しをしましょう!ね、素敵でしょ!」という恐ろしい提案がおばちゃまから・・・。

時、すでに朝の9時を過ぎ、日は完全にギラギラと照り、すでに炎天下と化していた海で、例の「貝探し」が再開されたのです。

・・・おばちゃま、どうなってるの?


前日同様、私は熱射病になり、moもさすがに言葉を失う程に疲れ果て、犬までもぐったりとしている中で、

ただひとり、おばちゃまのみが満面の笑みで「オススメの貝の見つけ方」のような事を延々と喋っていました・・・

(どうやらコツがあるらしい)

・・・もう、貝なんて見つからなくっていいから!というのが、私の内心 笑。



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ぐったりした犬。


そういうわけで、熱射病のなか、ルーマニア語vs日本語での帰り道も無事に終わり、スリナを離れるときが来ました。

あまり書けなかったけれど、nちゃんとsちゃんとは本当に打ち解けることが出来ました。彼女たちは英語とフランス語が通じたのです。

とんでもない母親を持ったnちゃんは、とても冷静でしっかりしていました。最後の晩、私とmoは、3人の似顔絵を描いたりして、温かいひとときを過ごしたのです。



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帰りの「貝の道」、moと犬


おばちゃまは、私達のことを本当に好きになってくれたのだと思います。常に満面の笑みで、最善(?)の「オススメ情報」を提供してくれて、

120パーセント楽しい旅になるよう、ずっと私達と一緒にいてくれました。



そしてお土産、「オススメの貝をたくさん」を、用意してくれました。いったい何キロあるのでしょう・・・ただでさえ大量の荷物を持っている私達に、「そのオススメはちょっと・・・」

と、ジェスチャーで伝えていると、sちゃんが「彼女たちの飛行機の重量オーバーになるらしいから、数個でいいわ」と、なんとも気の利いた通訳をしてくれました。

それを満面の笑みで理解したはずのおばちゃまは、では「ランチに」と、さらに別のお土産を取りだしました。



・・・大きな陶器のお皿に入った、魚とジャガイモの煮物(にんにく大量)、にタオルでふたをしたもの。↓


・・・。

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私達は、彼女達とハグをして、また必ずいつか会いましょう(おばちゃまは、来年絶対に会おうと言っていたみたい)、と、

素晴らしい出会いに感謝して別れたのでした。あっというまの、スリナの旅となりました。



・・・頂いたランチ、とてつもなく「にんにく+魚」の匂いがきつく、また汁物だったのでふたがわりのタオルにもしみこみ、

列車の中、バスの中、私達から漂うにおいは、ただならぬものがあったと思います・・・。 



あぁ、そう、いつまでも、この匂いが続くまで、いいえ、陶器のお皿やふたがわりにされたタオルを見るたびに、

おばちゃまの満面の笑みがよみがえってくるのです、とてつもなく濃いキャラクターとして・・・。

この旅の「静かで、寂しく、物悲しいスリナの朝日」という目的は、おばちゃまの満面の笑みによって何処かへ吹き飛ばされてしまったのでした。



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おばちゃまオススメの貝と、

nちゃんとsちゃんが最後私達にプレゼントしてくれたお土産の置物、ドルフィン!


一生の宝物。

  • 2010年9月11日

旅の続き・・・


ルーマニアに入ってから、今まで体験した事のないほど(それほど、多くの場所を知りませんが・・・)「アジア人として、からかわれる」という場面に沢山遭遇しました。夜遅くにブカレストの東駅に着いた事もあまり良い事ではなかったのですが、道の途中のジプシー・乞食の人々や、普通のカップルから、大声で何か叫ばれた時は少し怖かったです。またいくつかあてにしていたホステルが、実際は全て運営していなかったというのも(よくあるそうなのですが)私は驚いてしまいました。偶然、安くて良いホテルを見つけましたが。


よくあるのは、「ニーハオ」「チャイニーズ?」と数人の男性が近づいてくる事。

ブカレストから、トゥルチャという街へ移動して、その街のケバブ屋さんの前にいた時のこと。数名の青年が、「チャイニーズ?」と言って近づいてきました。パリでも、その他の街でもそういう人々はいるので、大分慣れてきてはいたものの、もちろんいい気分はしませんね。とくに、この国では相当アジア人が珍しいのでしょう。そしてアジア人=中国人だと思っている人々が多い様子でした。


私は、わりとフランス語が堪能なmoに、ほんの冗談で「フランス人、て答えたら?」と言ってみました。

そうしたらmoは本当に、「フランス人よ。」と言ったのです。

声をかけてきた青年は、ぽかんと一定時間、思考が止まって自分の世界に飛んで行っているように見えました。思考が止まっているというよりも、頭の中の地球儀の、アジア付近にフランスという国を探してみてみるものの、ないので、地球儀をくるくると回してみて、あぁもしかしたらヨーロッパのあのフランス?というようなところへ辿り着くまで頭をフル回転させていたように見えました。

十数秒後、「ああ、え?フランス人?」と驚いた様子で話すので、moが「そうよ、パリに住んでいて・・・」と内容は忘れてしまったのですがスラスラとフランス語で話し始めます。彼らもほんの少しフランス語は理解している様子でしたので、冗談なのか?しかしフランス語を話しているから本当なのか?と半信半疑で戸惑った様子。しかし彼らの態度は、私たちがもしかしたらアジア人ではなく、「パリジェンヌ」かもしれないと思い始めたところから、態度は急変。これ以上口説いても無駄である、早く退散すべき・・・という雰囲気で「Au revoir・・・」と足早にどこかへ行ってしまいました。


私は、まさかmoが本当に言うと思っていなかった上、彼のぽかんとした表情がとても面白かったので後ろで笑っていたのですが・・・。


アジア人の顔をしたフランス人がいるかもしれない、ということが、多分カルチャーショックだったのかもしれません。私たちはもちろんそうではないけれど、日系アメリカ人然り、そういう人々が大勢いるということを知るということは、重要な事なのです。私もパリに来て、これほどの人種がフランス(パリ)にいるという事を実感できたことは、とても大きな体験だったのですから。



以降も、大勢の青年たちにからかわれる等の場面に遭遇するのですが・・・

しかしルーマニアではとても親切な人々と出会い、素敵な時間を過ごすことも沢山あったのです。それは上記のような経験のことなど忘れさせてくれるほどに素晴らしい出会い。どんなところでも、様々な人がいるので、たった数回の経験で「この国の人々は・・・」なんて簡単には、言えないものね。


それは、また後ほど。

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