夕方、ローカルのゆったりした電車の窓からぼんやり外を見つめていたら、少し気の早い、大きなこいのぼりが何匹も空を泳いでいました。
ホームには、若い見習い車掌が大きな声とともに手を挙げて、幾度もサインを練習していて、
その指の先と、こいのぼりが天を仰ぐ姿が重なり、真っ赤な夕日のシルエットとなって、ほんのひととき、美しい絵が創られていました。
地震が起きた時、私自身は極めて危険な場所にいたので、生まれて初めて、本当に死ぬのではないかしらと、冷静に感じた瞬間がありました。
あれとあれが崩れてきて、逃げるにはとても間に合わないので、また周りに身を隠せるような場所が見当たらないので、
最悪下敷きになるかもしれない、などと、一瞬でイメージしていました。ふと周りを見ると、パニック状態で悲鳴をあげる人がいたりして、その声に驚いてしまったわ。
2週間たって、私は生きているから、様々なヒトと顔を合わせる事が出来て、お喋りをする事が出来るのだけど、
一瞬の死を予感した時へ遡ると、運命という言葉をとても重く感じるのです。
出来る限り、会いたい人と会うこと、伝えたい事を伝えること、美しい空間と出会ったら、素直に美しいと感じて心に刻むことを、
予期せぬ運命に備えることだと想って、ひとつずつ、ていねいに実行してゆかなければ、と想うのです。
・・・いえ想わさせて頂いているのです、最近会った温かなヒトたちが、私にそう、教えてくれています。感謝