いいえ、身内の話ではなくて(祖母もとても素敵だけれど)。
今日は、大学の大・大先輩T先生にお会いしたのです。年齢から言えば80歳の半ば、人生の大先輩でもあります。
パリも然り、ミラノにも先輩方が何人もいらっしゃり、今回はプライベートで来ているわけではないのでお会いする機会が多いのです。
皆さま私の母親よりも年上の方々ですが、とても元気に活躍されているのです。
でも今日は特別・私がミラノ入りした事を歓迎して下さる為、大・大先輩のT先生がわざわざ、素敵なお店にいらっしゃって下さったのです。
とっても素敵なおばあさま。話をしてゆくにつれて、私は先生の魅力にドキドキしてゆくのです。
雰囲気も、身形も大変素敵で、例えるならば、う~ん分かり易く言うと映画「タイタニック」の冒頭、最後に出てくるおばあさま(ローズ)。(伝わるかしら)。
話し方や性格も(大胆不敵で、女性らしい)、どことなく似ているように感じました。年齢を感じさせない発言。
現役で活動されていて、ええ、ローマで最近も色々とやってね・・・、と微笑んで言うのでした。
イタリアに50年以上(イタリアは今年で統一150周年を考えれば、その3分の1以上を知っているのですね)、日本の美大を卒業して、芸術家として過ごしてきたのです。
50年以上も昔に、好奇心旺盛な若い女性(きっととても可愛らしい)が、船で日本を飛び出して30日以上をかけて、世界の多くの国に降り、小さな旅をいくつもして、そしてイタリアの地に辿り着いたのですね。
「タクシーで、それぞれ降りたった国をまわったわ、でもお金はほとんど持っていなかったの。」
私が学生のとき、大好きな教授(恩師)に対してはしつこく研究室を訪れては想いの限りを表現したけれど、
「?」な教授に対しては、あからさまに納得がいかないとう反骨の精神をそのまま表現したものでしたが、T先生の時代は、学生全員で授業をボイコット(ストライキ・デモetc)、
映画館のはしごをしたあとは、夜の街で似顔絵を描くアルバイトをしていたのだそう。ええ、不思議な衣装をまとった女性ばかりの世界ですね(今でも不思議な衣装の学生は多いですが)。周りの目も(典型的な男性の目も)、全く気にしない、現代でこそ自由なふるまいは普通だけれど、当時の女子大としては大変珍しい集団(笑)だったのでしょう。
深い森の中で、昔どこかで会ったことのあるような、不思議なおばあさんと出会った気分。力強い風を吹かせながらも、静かなたたずまいで突如現れたのでした。
おばあさんの周りには、奇妙な草や木が生い茂っていて、何故かとっても濃厚なエスプレッソ3人分の量を、一息でゴクリと飲み干すのです。
森の奥はどのような世界が続いているのか、未知なる世界なので、いつでも不安になるのだけれど、さまよい迷っているとふと、こういう出会いがあるのですね。
それはひとつのヒント、目印、道しるべ? 灯りかもしれないし、誘惑や罠かもしれませんね。いつでもその瞬間の、自分自身を映し、試される時なのだと思います。
マキネッタをやっと本日手に入れたので、美味しいエスプレッソを頂くことができるのですが、おばあさまのように、3人分ひといきでゴクリ、はまだまだ無理だわ。
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