東の空、夕焼けに染まっていた大きな雲が、とても遠くで美しく浮かんでいたので、じっと見つめていたら、
あっという間に夜の闇の中に消えてゆきました。
正確に言うと、日が沈んだので、オレンジ色が消えて、周りの空の色の青に同化しただけで、雲自体はずっとそこに浮かんでいました。
かすかにその姿を見ることが出来たので、さらにじっと見つめていたら、
それは入道雲の様な形で、雲の中で雷が起きていて、稲妻がピカリと光っていました。幾度も、黄色く光り輝いていました。
あまり風の無い空気で、雲はじっとそのまま、そこに浮かんでいました。
その下には、ドゥオモがかすかに見えて、おんなじ、黄色い光によってライトアップされた姿が浮かび上がっていました。
さらに雲を見つめていると、だんだんと雲は形を崩して、分裂してゆきました。
ひとつの大きな塊だった入道雲の様な雲は、ちぎれちぎれに散ってゆき、ミニ入道雲みたいなものがぷかぷかと浮かんでゆきました。
そうして、そのひとつひとつの小さな雲の中で、小さな稲妻がピカリピカリ、光を放っていました。
それぞれは、どんどん離れていって、気がつくと全て完全に、夜の闇の中に姿を消してしまって、雲の姿は全く見えなくなりました。
ポワンと、夕陽を浴びて美しく浮かび上がった雲の中で、ピカリと冷たく稲妻が走っている。
さっきまであったものが、もうそこには無い。
解らない事が沢山あって、秘密を知りたい謎が常に新しく生まれてゆくから、
私には、それが明日を生きるひとつの理由となってゆくのです。
大切な知人のU牧師先生が、ミラノを離れて少しの間、にっぽんへ、被災地へ入ることとなりました。
現実に起きている事を、目で見て、あるがままを冷静に見つめることをしなければ、知識やヒトの噂からはきっと、何も解らないのでしょう。
観察記をつけるようなもの。
私的感情を一切切り捨てた状態。
そうして、あるがままを受け入れることが、とてもむつかしいのですね、きっと。
どうか先生の無事が守られますように。先生の目的が無事に果たされますように。
・・・ところで、雲を見だすと何時間も止まらなくなる癖は、いつか治る時が来るのかしら?
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